D&Iはじめました…

ダイバーシティ&インクルージョンという言葉を見聞きすることが多くなった。
性別、年齢、障がい、国籍、ライフスタイル、職歴、価値観等の属性にかかわらず、個を尊重して認める、ということらしい。
社内でこの活動が始まった。企業価値の向上や人材確保の意図がみえるが、まあ活動することは、社員の理解を深めるよい機会である。
全社員にD&Iの考え方が紹介されたが、多様性を認めた具体的な事例の共有はなかった。
ようやく出てきたのが、仕事と育児を両立する女性を周囲が支えたという事例であったが、サクセスストーリー的な仕上がりなので、子供が寝た後にPCをONする女性の共感は得られなかった。
育児は、大変だけれども、子供は成長するので明るい。介護の終わりは「死」である。幸い長くはなかった親の介護でも、老いていくのをみるのはつらかった。介護中に上司等から「あなたのキャリアをきかせてください」「どれくらい続きますか」等ときかれた時は怒りで発狂しそうになった。「そんなことを考える余裕はありません。最初に考えることは、辞めるかどうか、です。」と答えた。若い社員の多い会社で介護の理解は困難だ。育児のような明るいストーリーは出てこないだろう。
 
障がいや国籍、ライフスタイル、価値観など、外見でわからないものは、本人が周囲に伝えない限りわからないわけでD&Iが始まらない。「私、●●です。」と言うのは勇気がいる。
「私、アーリーリタイア目指してます。」と告げられ、他の社員と同等の人事評価をする心の広い管理職はいるだろうか。
D&Iが浸透する頃、私はあの世へ行っている。