人の価値観は簡単に変わらない

英語の話せる日本人は他の国へ、日本で仕事をしたい外国人は日本に転籍してくる。
アメリカ、カナダ、スペイン、フランス、ドイツ、ベルギー、イタリア、イギリス、ブラジル、アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランド、台湾、マレーシア、インド、中国……数えたらキリがない多くの国から来ている。たくさんの外国人を見てきたが、何年日本にいても”外国人”なのである。
日本の習慣に合わせる努力はしているが、価値観は育った環境や商習慣が影響しているようで日本人と平行線の議論が続くことがある。これを埋めることは無理なので、お互いの妥協案を見つける。妥協案で収まるまでの過程は精神的な強さを要する。論理的に説明する、とにかく話す(黙っていると”完全”に同意しているとみなされる)、同意はするが提案する、最終決定は確実に議事録に残す等、日本人だけの時より注意を払う。
一方、外国人は、静かな日本人を見て何を考えているかわからないようで、一生懸命日本人の言動を観察しているが、最後までわからないようだ。お互い一生懸命の時は妥協案で満足するが、ポジションパワーを発揮して決めると後の仕事がこじれる。
最近、よく見かけるダイバーシティ&インクルージョン(D&I)は、今に始まったことではなく、多国籍企業では日々D&Iである。外国人だけでなく、日本人に対してもD&Iであるが、そこは同じ日本人として見てしまうのでD&Iはなかなか浸透しない。純日本人の集団で、D&Iを体験する機会がない企業では、具体例を見せないとD&Iは浸透しないだろう。
人間、そう簡単には変わらないのである。