辞め時が見えてから、仕事が嫌いになっている。
業務そのものは嫌いではないが、働くと様々な矛盾に対面しても対応しなければならず、それらを我慢した成果として給料があると思っている。このような心構えなので、あと少しで辞めると決めてからは、矛盾というものを見聞きしたくない、静かに辞めたいと思うようになっている。
「見ざる、聞かざる」になるには接点を減らすとよいが、ひとりで仕事をすることは不可能である。見聞きするのは避けられないなら、どうしたらよいか考える。
意識を失う、目と耳に蓋をする感じで「無」の境地に入る。
オンラインでの会議では、これが上手くできる。面倒な案件になったら、イヤホンの音量を下げる、壁を見つめる、他の資料を読む等意識を他に向ける。
対面の時が難しい。発言者の表情がよくわかるし音量を調整できない。意識を他に向けると聞いてないのがわかってしまう。
見聞きしたくない会話が始まったら、まず発言する。発言内容は、発言を求められたり質問されないような内容にする。そして、楽しい退職後を妄想する。
発言内容は、半分以上が賞賛、残りは噛み合わない提案をして議論の仲間外れにしてもらう、他人に任せるような発言をする等いろいろ試している。
周囲は、最近の発言がおかしいと感づいているかもしれない。
それでもいい、もう辞めるのだから。