空間減少に不快感

他人の家を訪れると、自分の家はもっとスッキリ片付けることができるという思いが沸き起こり、少しずつ物を減らしている。
物を減らすと床や壁が見えてきて、部屋が広く見える。何も置いていない壁を見ると「ここに物は置かない」といった決心がつく。机や棚は、同じ壁に並べて置き、何も置かない壁を作ると部屋が広く見えることに気付いてから、何もない所に物を置くと心がざわつくようになった。
もっと前に気付かなかったのか?と昔を振り返る。
仕事と遊びを満喫してエネルギーに満ち溢れていた頃は、片付けることに関心がなかった。平日の帰宅は夜9時以降、休日は外出していたので家は寝るだけの場所としか考えておらず、散らかってはいないが部屋について何も感じるところはなかった。50歳をすぎて、顕著な体力低下や親の介護、同世代の病気や退職を見聞きして、遠くに死が見えてきた頃に物欲が減った。新型コロナウイルス感染拡大で外出制限や在宅勤務で行動が抑えられ、1日中家にいることが多く、さらに物欲が減って、手に入れたものを手放すようになり、部屋にある物を減らすようになった。老化による心身の変化であるから、若い時には気付かないのだ。今は部屋の壁に物があると不快に感じるが、若い時は、何もないことが不快だったかもしれない。
他者からの助言で断捨離しても、また物が増えるのは、本人が部屋の空間を感じ取らないからではないだろうか。無理をして断捨離する必要はない。