シニア社員の生きる道

出た杭は引き抜かれて別の杭が打ち込まれる。
順調に昇格しても、さらに上の役職の昇格試験に落ちたり、組織変更で部署が無くなった管理職は辞める。降格までして会社に残らない。そんな人達との別れが多い時期である。
勤務する会社は、離職率が高く定年まで勤める人はゼロに近い。60歳を超えた社員はごくわずか、辞める人は転職先を見つけるか早めのリタイアで次の生活に活路を見出している。
そんな新陳代謝の激しい会社でも全員が昇格を続けることはないので、「出る杭」にならず地道に仕事をしているシニア社員がいる。会社という理不尽な世界を長年見続け無理難題をこなしてきた経験豊富な人達だ。
貴重な存在ではあるが、無理難題は若い社員にも振られるわけで、経験値によって成果が大きく変わるものでもない。解決までの時間が短くなる、誰かが休んでも業務が滞ることがない等の恩恵はある。同じ仕事でも年齢によって給料が違うので、若者にとっては違和感を感じるだろう。会社の理不尽の一つであるが、今のシニア社員も若い時は、同じ違和感を感じていたことだろう。
年功序列崩壊といわれているが、技術が優先される職務ではジョブ型が適用されてもよいが、多くの仕事は業務を通じてスキル習得をするので経験者が必要である。経験豊富なシニアの活躍の場はある。
しかし、その経験は10年持つかどうか。長く同じ部署にいる事の弊害もある。
リストラが増えてシニア社員の労働環境は厳しくなっている。働き続けるには、自身の経験を活かしつつ貪欲に新しい知識やスキルを習得し「窓際族」ではないことを示すことが求められる。