課長になりませんか

約8年前、上司に言われた。
社会人スタートは営業であったが、3年後に営業ではない部門に異動した後、転職したので、営業というキャリアは全く関心はなく、「今の仕事でよいです」と即答した。急に呼び出して何をきくのだ、部下に置きたくないのか等と理由を想像したが、営業実績なしで昇格してまで営業課長にするというのは周囲が納得しないだろうし、10年以上前の他社での営業経験をなぜ知っているのか?履歴書を見たのか?など不信な点があった。この話を周囲にたずねると噂になるので誰にも言わずに淡々と仕事をした。
1か月後、数人の女性が課長に昇格した。会社初の女性課長、女性のキャリア実現を果たしました、といった感動の社内通知が出された。キラキラした写真の中に入って、周囲から距離を置かれていただろう。
営業部門で女性管理職の目標人数が設定されていたようだ。販売目標に比べれば簡単に達成できる楽な目標だから部長達は必ず女性社員に打診するだろう。女性の中には、実績がトップてなくても昇格なら「やります」と答える人もいるだろう。
彼女達は、優遇された集団として周囲との距離を感じながら頑張っていた。その頑張りのおかげと世の中の変化によって、今は沢山の女性課長がいて女性が課長になることの違和感は薄くなっている。薄くなっているが、大都市で取引が難しくない地域、転勤しても引っ越しなしの隣の県という待遇は変わらないので男性から文句が出るところだが、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンに背くので言えずにくすぶっている。
真の男女平等になるのは、性染色体が変化して性差が消えるまで無くならないだろう。不公平の存在に突っかかっていないで「そういうものだ」と流すしかないのかもしれない。