忘れた過去

実家を片づけていたら、鍵付き日記帳が見つかった。
この日記帳は自分のものではあるが、何を書いたのか全く記憶がない。同居人に見て欲しくない事を書いていたのだろう。
鍵付きとはいえビニールなので、ハサミで帯を切ることができるので、切って適当にページを開いて読んでみた。
大学受験について書いていた。
・進学した大学は希望の大学ではなかったが、これも運命と自分を鎮める。
・滑り止めに4つの大学を受験していた。
・「私は勉強していない。」と言い放っていた同級生が自分が落ちた大学に合格したことに対して恨み爆発
全て記憶にない。不合格になった大学名を忘れており、同級生がその大学に進学したことも忘れている。受験をきっかけに音信を断った可能性があるが、大学が違えば会うことはないので自然消滅だろう。
「忘れたい過去」「過去は忘れろ」「過去を忘れない」など、過去は残るという前提の表現をすることが多いが、ここまできれいさっぱり忘れているとは、自身の都合の良さに感服する。
日記の書きぶりが凄まじいので、不満をぶちまけて発散し、鍵をかけて封印しようとしたのだろう。封印力は30年以上に渡り効果を発揮している。
見開き1ページしか読んでいない。他のページも凄まじい文章であろう。多感な年齢ゆえ、大学受験以外にも色々な感情をぶつけているだろう。
脳細胞から消された出来事を今になって脳細胞に戻すのは無駄な感情が入るのでよくない。
この日記は、燃やすことにした。