勧誘の思い出

テレビやネットのニュースで、宗教団体への献金が取り上げられている。
街中でいろいろな勧誘を受けるが、全く知らない人に突然話しかけられたら、無視するのが普通だと思っていが、世の中には、突然の声掛けに心を開く人もいるのだ。寒くても暑くても大雨でも勧誘活動を続けているのは、オープンマインドな人が存在するからなのだ。信じる者は救われる、そう思えば、私のように無視する人がいても心折れずに勧誘を続けられるのだろう。
全く知らない人は無視だが、友人に勧誘されたことがある。宗教ではなく、お金だけであったが、30年前の出来事は今でも「あやしい奴に心酔していたよね。」と友人間で囁かれる。
友人と喫茶店にいたら同年代の男性2人が隣に座った。初対面で図々しい奴だと嫌な感じがしたが、友人のサークル仲間だというので、挨拶をして友人と話を続けたが、友人が落ち着かない表情をしている。
「この人を好きなのかな。後から問い詰めてやろう。」若かりし頃は、こんなことしか思いつかない。
数分間の世間話の後、「大きな夢を持つ、っていいことなんだよ。」とキザなことを言い、儲け話が始まった。
こいつ、私に金を出せと言っている。気持ち悪いので、「帰ります」と言って店を出ようとすると、友人が泣きそうな顔で私を見つめていた。
ここで「変な奴だから一緒に帰ろう」と言うと、拉致されそうだったので、「予定があるので」と嘘をついて静かに去った。
帰宅後、「●●が変な奴に取りつかれている、注意して。」と周囲に電話しまくったら、数人から「すでに勧誘された。」との情報が入り、どうすれば止めることができるか皆で考えたが、しばらくして新しい彼氏ができたので、勧誘活動は終わった。
友人は、韓流が流行れば現地に飛び、好きな人が浮気しても疑わず、一途な性格なので、騙しやすかったのだろう。
今は連絡を取ることはなくなったが、普通の生活をしているのだろうか。
年を取ると正常な判断が鈍ることがあるので、30年前と同じ事になっていないことを祈る。