駅で電車を待っていたら、後ろから人がぶつかってきた。
下を見ると爺さんが倒れていた。意識はあるが朦朧としている。
気付いたら改札に向かって走っていた。駅の階段を上がるのですら、息切れするというのに、階下の改札まで息切れせずに走るとは「火事場の馬鹿力」である。アドレナリンが苦痛を消していたのだろう。
近くにいた男性数人が爺さんを介助していた。若者もいて頼もしい限りである。
しばらくすると爺さんは立ち上がったが、ふらついているので駅員さんと一緒にエレベーターで降りて行った。
介助した男性に「あなたが前にいたので、プラットホームから落ちずにすみましたよ。」と言われ、爺さんを止めることができて人助けした満足感が込み上げてきたが、よく考えると、爺さんの倒れる勢いが強かったら私が落ちたかもしれない。平日の昼間で人が少なかったので、一番前に立っていてもすぐ後ろに人がおらず、よろめく爺さんは私の足元で倒れたのだ。これが通勤時間だと将棋倒しか、、。恐ろしい。
一番前に立つ時は、スマホやイヤホンで音楽を聴くのはやめて、後ろを確認しつつ、人の気配に気をつけよう。
あの爺さんは、無事に帰宅したのだろうか。手ぶらで薄着であった。顔の表情も乏しいので軽度の認知症かもしれない。
高齢者は、猛暑の昼間に帽子なし水筒なしタオルなしの熱中症対策ゼロの恰好で外出してはいけないのだ。けれど、高齢者は暑さ寒さの感覚が鈍く、周りに注意を払うことがないので、欲望のまま外出するので困ったものである。