住居に求めるもの

駅から徒歩5分以内。
社会人になってから駅から徒歩5分以内、通勤時間30分以内の家に住み続けた。仕事で疲れて電車に乗って、さらに歩いたりバスに乗る体力はない。買い物も通勤も便利なところに住むからには家賃は高いわけで、自分の設定する家賃上限を超えないよう居心地を我慢してきた。定時に退社することは殆どなかったので、帰宅したら食事して寝る、の毎日で座って何もしないと寝落ちした。家ですごす時間が少ないので、台所・風呂の古さや騒音は我慢できた。風呂は湯舟につかってリラックスできる空間ではなかったのでシャワーしか使わず、近所の銭湯や日帰り温泉を利用した。台所は壁紙を貼って古さを消した。
節約してなんとかしのいできたが、年をとりリタイアが見えてきた今、居心地を求める欲望がわいてきた。在宅勤務で自宅にいる時間が長く、騒音が仕事の邪魔になっていることもある。昼間の電車の音、工事の音が我慢できなくなった。幼児の号泣は在宅勤務になって聞いた”騒音”だ。家の前が保育園拒否の最終抵抗ポイントのようで微笑ましいのだがテレカン中は困る。
家探しを始めた。人生初の駅から徒歩5分超えの家に引っ越すだろう。