人事情報が更新されるのは月に2回程だが、常に入社と退職のところに何人か名前が載っている。一般職から上級職まで幅広い等級の人が出入りする。
入社する人も退職する人も輝かしい表情をしている。辞める人は、極上の解放感で満たされて幸せな表情だ。「その解放感、私も来年、味わうぞ」と心の中でつぶやきながら労いの言葉を送る。
離職率は高いが、業績は常に好調である。ノウハウの蓄積がゼロでも好調。成功すれば「初めて成功しました。革新的です!」、失敗したら「予測できませんでした。他の方法にしましょう。」で終わる。失敗の責任を取ることはなく、次の企画が生まれる。次の企画が始まる頃には、新しい社員が加わり、過去の出来事は忘れ去られる。
このような状況を何年も見ていると、社内の業務経験は必要ないと思うようになった。対外的な問題の対処で、過去の事例でお叱りを受けても、反省はするが実感が沸かないので猛省はしない。
スーパーポジティブな社風である。
上司や同僚と合わなくても、仕事の進め方に疑問を感じても、我慢すれば過ぎ去る。そうやって長い間過ごしてきたので、自分もスーパーポジティブなのかもしれない。
最近はスーパーポジティブを見ると疲れるようになった。あと少しの我慢だ。